アジラフェルの日記の一部
さて…グッドオーメンズのS2では、アジラフェルが1820年代に書いた日記の抜粋シーンがある。それをしたためる彼の姿を撮ろうとした矢先、前の書き込みも少しだけ見られるようにしたい、とダグラスが僕にお願いしてきた。なので僕はその部分を書いた。ふたを開けてみればカメラが近すぎて全く読めず、読めたとしても最後の一行くらいだった。
あれが無駄になるなんて僕は嫌だった。
というわけで、これは元気を必要とする人への、ささやかなバレンタインデーの贈り物だ。物語の全容は想像にお任せするよ。
***
「ご婦人!」とわたしは言った。
「あなたはわたしのことを完全に誤解していらっしゃる!」
伯爵夫人は背筋をピンと伸ばして立ち上がり―恐らく170cmほどになったかと思う―いささか困惑した面持ちでわたしをじっと見つめた。
「いいえ」と、彼女は言った。
「見誤っていらっしゃるのはそちらですわ、ミスター・フェル。なぜならこのわたくしの誘惑に抗うことができた殿方なぞ、これまで一人としていなかったのですから」
そして彼女は衣服を再び身にまとうと(彼女がそれを脱ぎ捨てるよりはるかに時間がかかった)、こう付け加えた。
「あなたが何者かわたくしは存じ上げません、ミスター・フェル。ですが、弟が抱える些細な問題をあなたが解決してくださると信じております」
「彼の力になりましょう」と、私は請け合った。「これで彼は幽閉から逃れたも同然です」
「まるで天使様だわ」と、伯爵夫人は言った。
そうして話はそこで終わった。今朝、彼は(私の力によって)借金取りの牢獄から解放され、彼女と再会できた。彼の姿を見た彼女は大喜びだったと聞く。
追記:
どうやら彼女は伯爵夫人ではなく、彼も彼女の弟ではなく、二人は多額の借金を残してフランスに逃亡したらしい。クラレットを飲みながらクロウリーに事の顛末を洗いざらい話したが、彼は私が期待していたほどには驚いていないようだった。
あれが無駄になるなんて僕は嫌だった。
というわけで、これは元気を必要とする人への、ささやかなバレンタインデーの贈り物だ。物語の全容は想像にお任せするよ。
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「ご婦人!」とわたしは言った。
「あなたはわたしのことを完全に誤解していらっしゃる!」
伯爵夫人は背筋をピンと伸ばして立ち上がり―恐らく170cmほどになったかと思う―いささか困惑した面持ちでわたしをじっと見つめた。
「いいえ」と、彼女は言った。
「見誤っていらっしゃるのはそちらですわ、ミスター・フェル。なぜならこのわたくしの誘惑に抗うことができた殿方なぞ、これまで一人としていなかったのですから」
そして彼女は衣服を再び身にまとうと(彼女がそれを脱ぎ捨てるよりはるかに時間がかかった)、こう付け加えた。
「あなたが何者かわたくしは存じ上げません、ミスター・フェル。ですが、弟が抱える些細な問題をあなたが解決してくださると信じております」
「彼の力になりましょう」と、私は請け合った。「これで彼は幽閉から逃れたも同然です」
「まるで天使様だわ」と、伯爵夫人は言った。
そうして話はそこで終わった。今朝、彼は(私の力によって)借金取りの牢獄から解放され、彼女と再会できた。彼の姿を見た彼女は大喜びだったと聞く。
追記:
どうやら彼女は伯爵夫人ではなく、彼も彼女の弟ではなく、二人は多額の借金を残してフランスに逃亡したらしい。クラレットを飲みながらクロウリーに事の顛末を洗いざらい話したが、彼は私が期待していたほどには驚いていないようだった。
